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R
RADIOHEAD『OK COMPUTER』
美しい。例えるなら、森の中に潜む小さな湖の琥珀色の水面が、朝日に乱反射して玉 虫色に輝いている。そんな様子を想像させる。 僕のイマジネーションを掻き立てる。柔らかい衝動。激しい感動。このアルバムはひとつの作品としてまとまりをみせている。 そうだ、ムービーだ、このアルバムはひとつの映画なんだ。 ゆっくりと目を閉じる。新しい。 このアルバムの表現手法、伝え方、エモーション、全て何かが新しい。 とにかくスケールが違う。デカい。広大な草原を、曇り空の中、ちょっとだけ強い風に揺れる曇天下の草原を。僕はひとり佇んでいる。しかし、僕には希望がある。孤独な状況において、佇んでいるようだが、僕は希望に満ちている。21世紀も捨てたもんじゃないな、と。トム・ヨークよ。変態、トム・ヨークよ。あなたはこの作品で、どんな指標を残したかったのか。教えてくれ、トム・ヨークよ。そして今、自分の中でも問うてみる。どの曲も秀作なので、全部紹介したいところだが、その中でも数曲チョイスして書いてみることにした。  最近、職業柄、「クラブで(DJをしてて)使えるか、使えないか」という観点で見てしまうことが多い。そういったダサいカテゴライズをしちゃイカン!と常々思っているのだが、ついついノリがよかったり、お客さんのウケがよかったりすると、「これ、イケるやん!」となりがちである。M2「PARANOID ANDROID」、これはそんな価値観を打破してくれた一品である。実際、最初のラブバズだったか、かけたけどみんなひいた。ひきまくり。ちょっとお休みモードなんか入ったりして。しかし、僕はというと興奮してた。異常に。ブース内で跳ねまくった。もう、タマんない。タマらん。玉 乱。腹が減りすぎて、胃がギュッとなる感じ。もう、欲しいのだ。食べたいのだ。この曲に凝縮された全てを。 さっきこのアルバムをひとつの映画に例えたが、この「PARANOID ANDROID」はその映画の一編を担う役割を果 たしていて、この曲はこの曲でまるで絵本の中の物語のような作品だ。読んじゃいけない本の扉を、開いたような感触を受けた。この曲のビデオクリップはアニメで、それはそれでわけがわからんくてスゴい。スケールがデカい。広大だ。という修飾語が、とってもチープで恥ずかしく思える。しかし今の僕にはこの曲を飾るべく適切な語句が見つからない。不適切な関係。そのぐらい僕の中では崇高だ。気品さえ漂う。トム・ヨークの声が伸びていく。神々しさを伴いながら。「WHAT'S THAT?」曲が一層激しさを増す。初めて聞いた時には、ここに強さ、パワーを感じたが、数百回聞いた今、すごく切ない。何か、たたみかけてくる切なさがある。辛い。そしてスローダウン。浮遊系。気持ちいい。最近ではここに激しさを感じる。曲はスローなのに、激しい。愛しさと、せつなさと、心強さと。ここに全てが集約されているような気がする。僕はこれを待っているかのようだった。寂しい感じの、それでいてあまりこもっていなさそうで、すごく重いエモーションを。不気味さを。また曲が激しく、強い音を奏でる。と思ったらあっけなくピリオドを打つ。残る余韻。淋しさ。うーん、スゴい。 M4の「EXIT MUSIC」も好きで、DJ53(3/29のゲストDJ)も、「バイト中にかかって興奮した☆」と言っていたが、次はM5の「LET DOWN」について書きます。 少しおとなしく、静かに始まるこの曲、不思議だ。変な力がある。人の心をグッと引き寄せる、というか。徐々に盛り上がりを見せていく。コーラスも少しずつ増す。トム・ヨークの歌い方が、このヤボッたいムードの中に、ほんの少しの悲しみや喜びを詰め込んで、そして僕の心の中でおりなす調和。いてつく凍えた空気の中で、神秘的なオーロラを見ているような、そんなプラネタリウムのような曲だ。 M8「ELECTIONEERING」は、レディオヘッドのロックな一面を見たようだ。またもやどこか悲しげ。パーカッションのような、プリングルスの底の缶 みたいなところを叩いたような乾いた音が鳴り響く。ギターがガンガンきてる。いい感じ。これは何か辛い事や嫌な事があった時に思いっきり踊ると、きっとスッキリすると思う。トムが裏声で歌う。まるでハーピーのように。我々に何を伝えたいのか。タイトル直訳が「選挙運動」フゥ〜ムゥ〜。実は歌詞自体すごく短い。サビのところを全部書いてみる。 「when i go forwards you go back wards an some were we will meet」 つまりこういうことだ。全てが OK COMPUTER だ。 他にもいい曲があるんだが、みんなの時間もないようなんで、最後にまとめてみる。このアルバムは聞くたびに解釈が変わる。だから急に聞きたくなる。ある日突然聞きたくなる。急だ。でも、定期的に聞いているような気がする。そこが魅力なのか?それとも妖術使いか?遣唐使か?このアルバムは20年経っても、40歳になっても、まだ聞いているような気がする。噛めば噛むほど、味のある深い作品だ。傑作。
text by DOBERSON
LP
Richard Ashcroft 『Alone With Everybody』(2000 / Hut)
2度の解散劇の末、結局復活も来日もする事の無かったヴァーヴ。 解散から約1年。 何事も無かったように、またファンへのお詫びにも成りうるかのように見える。 静寂を断ち切ってヴァーヴの中心でありヴォーカルであるリチャード・アシュクロフトが 初のソロアルバム「Alone With Everybody」を発表しました。
先行シングル「A Song For The Lovers」を聴いた時ある程度路線はこのように行くのかと予想していましたが、そんな僕を欺くかのようにアルバムの中のリチャードの世界は確実に、そして贅沢なサウンドで広がっている。やはりリチャード節はスケールがあるよ。そしてそのサウンドからは全盛期のリチャードのような落ち着きが見えてくる。 まさに自分の生き方、そしてヴァーヴのリチャードを再確認するかのような何度も呼びかける言葉。そして言葉に間髪いれずに追いかけていくペダル・スティール・ギターの音色とグルーヴ感。 これを絶品と言わずにしてなんと言えるだろうか? 僕は強く確信する。 例に取ればあのローゼズのイアンのソロデビューの時の感動にも優るものであるとも。 早く来日して欲しいものである。 今年はV2000でTravisとともにヘッドライナーを務める事は決まっているようです。 多くの人に聴いてもらいたい。
2000.07.18 text by カズキ
LP
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